Ring For You
作:ねこすき☆とも
早坂日和【みずいろ】 BirthDay SS
「何にしよう…」
俺の声が誰もいない部屋に響いた。
恋人・早坂日和の誕生日の情報を手に入れてから今日で三日。
未だに何をプレゼントするか悩んでいた。
「服…たってアイツのサイズ知らないしな…」
自分の中で思いついたものを即否定する。
そもそも俺は人に物を送った経験が少ない。
この手の事を考えるのに慣れていないのだ。
「どうしよう…」
ベッドに寝転がり天井を見ながらつぶやいた。
当然答えが返ってくるはずもなく再び沈黙が訪れる。
しばしの沈黙の後…
「お兄ちゃーん、ご飯できたよー」
下の階から雪希の声が響いた。
時計を見るといつもの夕食の時間。
考え事をしていたので気付かなかったが腹も減っていた。
「今行くー」
横になったまま返事をするとゆっくりと起き上がり部屋を出た。
階段を下りるといいニオイがした。今日の夕食もうまそうだ。
「いただきます」
「召し上がれ」
いつもの会話をして食事を口に運ぶ。
夕食をしながなも考えていた。
食事に連れて行くのはどうだろう?
フランス料理やイタリア料理、意表をついて和食…
似合いそうにない。
それに食事なら誕生日でなくてもいいだろう…
「お兄ちゃん?」
「ん?どうした?」
「今日のご飯、おいしくない?」
「いや、うまいけど…どうして?」
「何か難しい顔してたから…」
「マジか?」
「うん、眉間にしわよせて…悩み事?」
「まぁな…!」
「どうしたの?」
「なぁ、雪希。もしオマエが恋人から誕生日プレゼントもらうとしたら何がいい?」
「え!私恋人なんていないよ?」
「いや、例えばの話だ」
「うーん…何でもいいかな」
「それじゃ参考にならん」
「悩みってその事?」
「まぁ…」
「日和さんでしょ?」
「ああ」
「誕生日なの?」
「そうなんだ、それで何にしようかなって」
「でも日和さんの事ならお兄ちゃんの方がよく知ってるでしょ?」
「そうだけど、参考にしたくてな」
「日和さんも何でもいいって言うと思うけど?」
「それじゃ困るんだ」
「服とかは?」
「サイズを知らん」
さすが雪希、血は繋がっていないが思考パターンが近いものがある。
「うーん、やっぱり身に付けられる物かな?」
「アクセとかか?」
「普段身に付けられる方がいいと思うよ」
「なるほど…ありがとな雪希、助かったぜ」
「はは、どういたしまして」
「ご馳走様。飯もうまかった」
「おそまつさまでした」
食事を終えると俺は部屋に戻った。
再びベッドに横になり考えを巡らせる。
カテゴリーは決まったので後はその中から絞り込む作業。
アクセサリー…ネックレス…ペンダント…ブレス…
「!」
俺はあるものを思いつき引き出しを開けた。
これしかない…
「また明日〜」
「気を付けて帰れよ」
放課後。
日和と分かれると俺は帰路…ではなく商店街へ足を向けた。
数分歩くと目的の店の前に着く。
非常に入りづらい店だがしかたない。
そして目的の物を買うことができた。
誕生日当日。
俺は日和を誘って海辺を歩いていた。
「ごめんな、こんな所で」
「ううん、ぽかぽかして気持ちいいし」
「そっか」
「けど、どうして海なの?」
「二人っきりになりたかったからな」
「どうして?」
「ちょっとな…」
そう言って俺は歩みを止めた。
それを見て日和も立ち止まる。
「あのさ…」
「何?」
「誕生日おめでとう」
俺はポケットから小箱を取り出すと日和に差し出した。
「これ…」
「プレゼント」
「ありがとう」
そう言うと日和はそっと小箱を受け取った。
「開けていい?」
「もちろん」
ゆっくりと小箱を開ける日和。
そしてその中身を見た瞬間動きが止まった。
「指…環?」
「似合うと思ってな」
「高くなかった?」
「本当は高いのを買いたかったけど、さすがに無理だった…ごめんな、安物で」
「ううん、嬉しい」
「そう言ってくれると助かる」
「けど、サイズ…」
「これ」
そう言って俺はポケットに手を入れた。
そしてストローのリングを取り出した。
「それ…」
「大変だったんだぞ、わざわざこれを店に持って行ってサイズを測ってもらったんだからな」
「…」
「だからサイズは合うと思う」
「うん」
「はめてみろよ?」
「分かった」
俺に促され日和は指環をはめた。
あの時と同じ、右手の人差し指に。
「サイズはどうだ?」
「うん、ピッタリ」
「よかった、似合ってるぜ」
「ありがとう」
「日和、知ってるか?」
「何を?」
「指環をはめる指には意味があるんだぜ?」
「そうなの?」
「ああ、右手の人差し指は集中力・行動力の向上を意味するんだ」
「そうなんだ〜」
「だからさ、俺たちも積極的にならないか?」
「え?」
「いや、変な意味じゃなくて…もっと色々な所に行ったり、
色々な事をして思い出を増やしていかないか?」
「うん…だけど…」
「だけど?」
「私は今の状態も好きだな、当たり前って言うか…普通って言うか…そんなの」
「そっか…それもそうだな」
「うん」
「それじゃあ、帰って普通に誕生日を祝うか。雪希がケーキ作ってるはずだから」
「うんっ♪」
俺はこれから
普通の時間を
日和と一緒に
歩いていこうと思う
けどそれは…
特別な事なのかもしれない…
そんな、俺の中で特別な日和を
大切にしていきたいと思う
とりあえず…
HAPPY BIRTHDAY!日和!
[終]
我らがぽんこつ 早坂日和 誕生日SSです。
背伸びをしようとする健二と普通が好きな日和。
ネタをしぼり出すというのがいかに大変な事か分かりました。
これを書く間シャワー3回・ストレッチ4回・ウイスキーをロックで5杯いってます。
そしてようやく形になりました。間に合ってよかった…
ちなみに、健二の指環に関するウンチクは本当です。自分がリアルで使っています(爆)
作:2005/4/23
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